絶滅危惧種であるハシビロコウは世界で2例しか繁殖例がなく、飼育下での繁殖は難しいとされています。当園では2014年にハシビロコウを初めて導入しました。
2021年にはハシビロコウの繁殖を目的とした展示エリア「ハシビロコウ生態園Bigbill」がOPENし、
今まで以上にハシビロコウの繁殖へ向けて注力していましたが繁殖には至っておりません。
今回、新たにコンゴ民主共和国から若い2羽のハシビロコウを迎え入れることができました。
これがアジア初の繁殖に向けて、ハシビロコウの未来にとってより良い機会になればと願っています。
英名:Shoebill
学名:Balaeniceps rex
分類:ペリカン目
ハシビロコウ科
体長:110cm~140cm
体重:4~7kg
待ち伏せ型の狩りをし、ゆったりとした動きでしばしば彫像のように動きを止めるため「動かない鳥」として知られる。巨大な嘴(くちばし)を持ち、嘴を打ち合わせて音を出す”クラッタリング”を行う。
指の長さも鳥類最大で、湿地に住むため沈まないように大きくて長い足と指をしている。目も特徴的で、瞳の周りが若い時は黄色、成長するにつれ青色に変化する。南スーダン、ウガンダ、タンザニア、ザンビアなどの生息地では数も減ってきており、絶滅危惧種に指定されている。
また世界中の動物園など飼育下では30羽ほどしかいない。
ハシビロコウの繁殖は大変難しく、動物園の繁殖成功例は北米とヨーロッパの2施設のみで、アジアでの成功例はありません。
単独で暮らす鳥のため限られた個体同士でのペア形成が困難であったり、世界で見ても飼育羽数が少なく、飼育環境や営巣環境、栄養面など繁殖に関する様々なデータが少ないことも繁殖の難しさとなっています。
ハシビロコウの繁殖のために2021年にOPENした「ハシビロコウ生態園Bigbill」では
アジア初の繁殖に向けて、様々な取り組みを行っています。
1
ハシビロコウの繁殖期は雨季の終わりから乾季にかけてと言われています。人工降雨機で降雨量・回数の調節を行ったり、池の水位を調整して、現地の雨季と乾季を再現しています。
2
生息地で繁茂しているマングローブなどの植物を植栽し、生息環境を再現しています。
3
場所や高さの違いがある複数の巣を設置することにより、ハシビロコウが巣を選択できるようにしています。
4
ハシビロコウは基本的には単独で暮らし、繁殖期のみペアで過ごします。2024年には初の試みとして雌雄を約4か月分離飼育した後、再同居を行いました。
5
大学との共同研究で糞中の性ホルモン値を測定し、繁殖に関するデータの集積、行動との比較を行っています。
6
ビタミン剤等で栄養を強化したり、繁殖期前にはナマズやドジョウを池に放ち、狩りが出来るようにしています。
2014年12月5日来園 / 出身:タンザニア
気分屋でよく動く。マリンバよりも体が一回り大きい。
2015年11月25日来園 /出身:タンザニア
臆病で慎重派。ボンゴよりも嘴の色が濃く、冠羽が長い。
コンゴ民主共和国からやってきた2羽のハシビロコウ。
まだ虹彩の色が黄色で若い個体であることがわかる。
雌雄については、現在検査機関にて判定中。
今後の展示スケジュールに関しては決まり次第ご報告いたします
コンゴ民主共和国からやってきた2羽のハシビロコウ。
まだ虹彩の色が黄色で若い個体であることがわかる。
雌雄については、現在検査機関にて判定中。
今後の展示スケジュールに関しては
決まり次第ご報告いたします